ランニングシューズの靴紐がほどける・かかとが抜ける?イアンノットとヒールロック
走行中に靴紐がほどけるならイアンノットか二重結び、かかとが浮いて靴擦れするならヒールロックで足首を締めます。道具は要りません。今の紐のまま、結び方と一番上の穴の使い方を変えるだけの、ランニング向けの結び方をまとめました。
この記事の要点
- 走行中にほどけるなら、二重結びかイアンノットです。普通の蝶結びは着地の振動でじわじわ緩みます。
- かかとが抜ける、下りで足が前に滑る、爪が黒くなるなら、ヒールロックで足首を締めます。
- ヒールロックは、多くのシューズで余っている一番上の穴を使います。道具も買い替えも要りません。
- 甲が痛い、小指が当たるといった部分的な不満は、その区間だけ通し方を変えると逃がせます。
先に結論を言うと、走っている途中でほどけるならイアンノットか二重結び、下り坂やロング走でかかとが浮いて靴擦れするならヒールロックです。どちらも道具は要りません。今ついている紐のまま、結び方と一番上の穴の使い方を変えるだけです。
ランニングの紐問題は、革靴やスニーカーのそれとは少し事情が違います。何千回と足を振り出すあいだ、結び目には着地のたびの衝撃がかかり続ける。だから普通の蝶結びは、走行中にじわじわ緩んでいきます。レースの途中で立ち止まって結び直す、あの数十秒が惜しいなら、結び方を見直す価値はあります。
ほどけない結び方
蝶結びがほどけるのは、結び目が横にねじれる力に弱いからだそうです。着地の振動でループと紐の端が少しずつずれて、最後に片方がすっぽ抜ける。対策は2つあります。
ひとつは二重結び。蝶結びをしたあと、できた2つの輪でもう一度結ぶ。確実だし、いま覚えなくてもできます。難点は、ほどくときに固まって面倒なのと、結び目が大きくなって甲の上でごろつくことがある点です。
もうひとつがイアンノット(Ian Knot)です。見た目は普通の蝶結びと変わらないのに、左右対称に締まるぶん緩みにくい。慣れると1秒くらいで結べます。両手で同時に輪を作って互いにくぐらせる、という動きなんですが、これは文章を読むより手を動かす映像を一度見たほうが早いです。名前だけ覚えておいて、あとで手元で試してみてください。
普段の練習ならイアンノット、それも不安なレースだけ余った端を紐の下に挟んでおく、くらいで十分だと思います。二重結びは確実な代わりに解くのが手間なので、自分は最後の手段に置いています。
ヒールロック(かかと抜け・靴擦れ)
かかとが浮く、下りで足が前に滑る、親指の爪が黒くなる。この手の悩みは、たいてい足首まわりのホールドが足りていません。ヒールロック(シューレースロック、ランナーズループとも呼ばれます)で足首を締めると、かなり変わります。
多くのランニングシューズは、一番上の穴が少し内側に離れて空いています。あの穴、使ったことがない人が多いと思います。ヒールロックのために用意されている、という説明をよく見ます。手順はこうです。
- いつもどおり、上から2番目の穴まで普通に通す
- 左右それぞれ、紐の端を交差させずに、同じ側の一番上の穴へ下から通す。足首の横に小さな輪ができる
- 左の端を右の輪へ、右の端を左の輪へくぐらせる
- 左右の輪を足首側へ引きながら締め、そのまま普通に蝶結びする
締まるのは足の甲の一番上、足首の付け根です。ここが逃げなくなると、かかとが浮かず、下りでも足が前に突っ込まない。ロング走やトレイル、少しサイズが大きいかもと感じるときにも効きます。
TIP
足首だけを締めて、指先はゆったりのまま、という配分ができるのがヒールロックの利点です。かかとが抜けるからと全体をきつく締めると、今度は指が窮屈になって別の靴擦れを呼びます。
締めすぎると足首の前側が痛くなります。最初はゆるめから始めて、走ってみて浮くようなら少しずつ強める。1回で決めようとしないほうがいいです。
甲や小指が当たるときの通し方
甲が高くて紐を締めると痛い、小指の付け根が当たる。こういう部分的な不満は、交差のさせ方でいくらか逃がせます。
痛む区間だけ、左右で交差させずに縦へ平行に通す。そこの締め付けが甲に食い込まなくなります。小指が当たるなら、そのあたりの紐を一段ゆるめて、上下でフィットに強弱をつける。全体をゆるく締めてごまかすより、当たるところだけ逃がすほうが、走ったときにフィットが崩れません。
ただ、通し方で直せるのは相性のズレが小さいうちだけです。締め方を工夫しても毎回同じ場所が痛むなら、紐ではなく靴のワイズ(幅)やサイズが合っていないことのほうが多い。そのときは無理に履き続けず、選び方ガイドのサイズの合わせ方を先に読んでみてください。合わない靴を紐でねじ伏せても、寿命ガイドでいうへたりより先に、足のほうが参ります。
よくある質問
ランニング中に靴紐がほどけないようにするには?
二重結びかイアンノットです。二重結びは蝶結びのあと、できた2つの輪でもう一度結ぶだけで、いま覚えなくてもできます。ほどきにくく結び目が大きくなるのが難点です。イアンノットは見た目は普通の蝶結びなのに左右対称にできるぶん緩みにくく、慣れれば1秒で結べます。それでも不安なレースでは、余った紐の端を最上段の穴や紐の下に挟み込んでおくと、引っかかってほどけるのを防げます。
ヒールロックはどの穴を使うのですか?
一番上の、少し内側に離れて空いている穴です。使ったことがない人が多いと思いますが、多くのランニングシューズはこのために最上段の穴を余分に用意しています。上から2番目まで普通に通したあと、左右それぞれ紐を同じ側の最上段の穴へ通して小さな輪を作り、反対側の輪に端をくぐらせて締めます。足首の付け根が固定され、かかとの浮きが止まります。
靴紐を締めると足の甲が痛いです。
甲が高めの足に起きがちです。痛む区間だけ交差させず、左右の穴へ縦に平行に通すと、その部分の締め付けが甲に食い込まなくなります。全体をゆるく締めるより、痛いところだけ逃がすほうがフィットは崩れません。それでも当たるなら、紐そのものより靴のワイズ(幅)が合っていない可能性があります。
結ばない靴紐(ゴム紐)はランニングでも使えますか?
使えます。トライアスロンのように一秒でも早く履きたい競技では定番で、ほどける心配もなくなります。ただ伸びるぶん足首まわりのホールドは蝶結びより甘くなりがちで、ヒールロックと相性が悪いものもあります。普段のジョグや脱ぎ履きの多い場面には向きますが、かかとをしっかり締めたいレースでは、自分は普通の紐のほうが安心だと思います。

二村 昇太朗ランナー / エンジニア
小1から陸上一筋17年目。箱根駅伝2回出走(第101回10区 / 第102回7区 区間5位)、フルマラソン自己ベスト2時間16分17秒、東京マラソン2026出走。ほぼ毎朝3:45起床・12km走を継続中。